瞑想のやり方(方法)

伝統的な仏教の瞑想のやり方(方法)についてご説明します。

瞑想のやり方(方法)

場所と姿勢

瞑想をする静かな場所を選び、快適な姿勢で座ります。足を組む伝統的な姿勢で座る方法もいいですし、快適ならどのような姿勢で座っても構いません。椅子に座りたい場合は、椅子に座ることもできます。

最も大切なのは心がよどんだり眠くなったりするのを防ぐために、背中を真っ直ぐに保つことです。

瞑想(メディテーション)の最初の段階では雑念を払い、心をより澄んで明晰な状態にします。それは、簡単な呼吸の瞑想を行うことで達成できます。

呼吸の瞑想法

目を軽く閉じて、呼吸に注意を向けます。鼻から呼吸を自然にします。そして鼻から出たり入ったりする呼吸の感覚に意識を向けtてください。

この感覚が瞑想をする際の、集中の対象です。他の何かを追いかけず、この感覚だけに集中します。

これをしばらくやると、最初は心がざわつき、呼吸の流れだけに集中しようとしても、いろんな思いが心に浮かび、その思いを追いたくなる大きな誘惑があるかもしれません。しかし、この誘惑を抑えて、呼吸の感覚に一点に集中し続けます。

心がさまよい思考を追っていることに気づいたら、また、すぐに呼吸に意識を向けます。心が呼吸に落ち着くまで、必要なだけ何度もこれを繰り返し、できるだけ長い時間、呼吸の流れの感覚に集中できるように練習をしてください。

心の平和

このように忍耐強く練習すると、次第に雑念が治まり、呼吸の流れに集中できる時間が長くなり、内的な平和とリラックスした感覚を経験するでしょう。そして、心は澄んで広々として、すっきりするでしょう。

海が荒れている時には沈殿物がかき廻されて海水が濁ります。しかし風が治まり、泥が沈んでいくと、水は透明になります。

同じように、瞑想をしないと絶え間なく流れる雑念が、呼吸に集中することにより落ち着くと、心はいつになく澄んで明晰になります。この心の静けさにしばらくの間とどまります。

呼吸の流れの感覚に集中する

呼吸の瞑想は準備の瞑想にすぎませんが、とても力強い瞑想です。この実践を通して私たちは、心を制御するだけで、内面の平和と満ち足りた心を経験できることを理解できます。

普段のストレスや緊張の多くは心から来ていて、体や心の不調などの問題の多くは、ストレスに起因するか、ストレスで悪化しています。

呼吸の瞑想法を毎日10分から15分行うことで、ストレスを軽減することができます。

私たちは静かで広々とした感覚を心に味わい、普段経験する問題の多くは消えていくでしょう。そして、困難な状況も対処するのが容易になるでしょう。

他の人たちに対しても自然に暖かい好意を抱き、他の人たちとの関係も次第に改善されるでしょう。

伝統的な仏教の瞑想法

この準備の呼吸の瞑想法に慣れてきて、粗い雑念が軽減されてくれば、本格的な仏教の瞑想のトレーニングに進みましょう。

ここで、「分析瞑想」と、「一点集中瞑想」の違いについて説明しましょう。

分析瞑想法とは

分析瞑想法には、私たちが読んだり聞いたりしたスピリチュアルな教えの意味を熟考することが含まれます。

教えを深く熟考することで最終的に、私たちはある明確な結論に到達するか、または、ある特定の徳のある心が生じるでしょう。これが一点集中瞑想法の対象になります。

分析瞑想法の例:

私たちの人生は貴重で、稀で、とても意味深い。たとえば動物として生まれかわった生きものは、過去の生まれかわりで、精神的な実践の価値を否定する煩悩に満ちた見解を持っていたために、今、ブッダの教えを理解し実践する機会を持つことができない。

動物はブッダの教えを聞いて、熟考して、瞑想することが全くできないため、現在の動物としての生まれかわりそのものが妨げだ。人間だけがそのような妨げから自由で、精神的な探求の道を歩むために必要な、あらゆる条件を備えている。

そして私たちを永遠の幸せに導いてくれるのは、精神的な探求の道だけだ。この自由と必要な条件の組み合わせが、人生をとても貴重なものにしてくれる特色だ。

この世界には多くの人が住んでいるが、私たち1人1人にとって人生は1回限りだ。多くの車や家を所有する人がいる。でも、世界でもっとも裕福な人であっても、人生は1回限りだ。そして人生が終わりに近づく時に、私たちは他の人生を買うことも、借りることも、製造することもできない。

私たちがこの人生を失えば、将来同じような資質を備えた人生を見つけるのはとても難しい。そのため、私たち1人1人にとって、人生はとても稀なのだ。

私たちが精神的に深い理解や経験を達成するために人生を用いれば、それはとても意味深いものになる。私たちは人生をこのように用いることで、すべての可能性を開花させ、普段の無知な状態から、すべての生きものの中で最高の存在である、完全に覚りを達成した存在となる。

そして私たちはこれを成就する時に、例外なくすべての生きものの役に立つ力を持つことができるだろう。そのため、私たちが精神的に深い理解や経験を達成するために人生を用いれば、人としてのすべての問題を解決し、自分と他者の望みをすべて叶えることができる。これよりも意味深いことがあるだろうか?

これらの点を繰り返して熟考して、「ブッダの教えを実践しよう」と思う決意が心に現れれば、この決意が瞑想の対象になります。

一点集中瞑想法

分析瞑想法を通して、上記の点を繰り返して熟考して、「ブッダの教えを実践しよう」と強く心に決めます。この決意が瞑想の対象です。

そして、私たちはそれを忘れることなく心に保ちます。

できるだけ長い間、一心にこの決意を持ち続けます。瞑想の対象を失う時には、すぐにこの決意を思い出すか、熟考を繰り返すことで、その決意を新たにします。

瞑想で養ったポジティブなエネルギーを捧げる

瞑想セッションの最後に、この瞑想の実践を通して積んだ徳を、人生の貴重さについての深い理解と経験のために、そしてすべての生きものが幸せになれるよう悟りを達成するために捧げます。